会員の皆様
去る12月12日、初めてのZoomによるセミナーを終了いたしました。
参加:45名
講演:「脱毛症の画像診断について」
講師:木下 美咲 先生 杏林大学医学部皮膚科学教室
坪井理事長の挨拶に始まり、武田会長の挨拶、木下先生の講演と時間の制限もあり、駆け足での進行となりました。
リアルタイムで参加者の人数が増えて行くのがわかり、またQ&Aもいつもより多くの質問が集まりました。時間の都合で回答いただけなかった質問のお返事を、木下先生よりいただきました。下記にアップいたしますので、ご覧ください。
また、近日中に会のホームページの会員用コンテンツに、ご講演の動画をアップいたしますので、参加された方も参加できなかった会員さんもぜひご覧ください。
Q&A
Q1 自己免疫異常原因の脱毛症の場合は、自己免疫機能を高めない方がよいのでしょうか。
A 毛髪疾患における自己免疫異常=自己免疫機能が高すぎるということではなく、あくまで毛髪や毛包に対する自己免疫の一部に異常が生じた結果生じるものです。
「自己免疫機能を高める」というのが具体的にどういったことかにもよりますが、一般的に健康によいとされることを意識し、実践することは毛髪疾患にとってもよいことです。
Q2 食事で気をつけることなどはありますか?
A 円形脱毛症は特定の栄養素との関係は言われておらず、食生活により発症したり、改善したりするものではありません。しかしながら極端に偏った食事やミネラル、ビタミンの不足で生じる脱毛もあるため、バランスのよい食事を意識していただくことは毛髪にとってもよいことです。
Q3 全身の脱毛が10年以上続き、現在は治療していませんが、部分的に数本毛が生えている部分があります。頭髪は、全て白髪ですが、白髪はどう言った時期に当たるのでしょうか。
A 円形脱毛症では黒色の毛が優先的にターゲットになりやすいため、黒髪が脱毛したあと、病勢が遷延している時に白髪だけが残ったり、回復時期に白髪が多く生えてくるということがあります。白髪があるというだけではどの時期に当たるのか判断が困難ですが、前者では太く長い白髪が、後者では産毛のような白髪がみられる傾向があります。
Q4 数十年の円形脱毛症でも完治した事例はあるのでしょうか?
A 全頭型の脱毛症が症状固定したまま長期持続している場合は、よくなったり悪くなったりしている(=動きのある)脱毛症に比べて治療も難渋することが多いですが、円形脱毛症の経過は個人差が大きく、かなり長期にわたって持続していた円形脱毛症の方でも急に改善し発毛が得られるということもございます。
Q5 デュピクセントを始めたら、アトピー と脱毛症の両方が改善される可能性はありますか?
A デュピクセントが円形脱毛症にどのように働くかは未だ分かっていないことが多いのですが、アトピー性皮膚炎を合併している円形脱毛症患者さんでは、アトピー性皮膚炎の状態がよくなることで円形脱毛症も改善が得られる、ということがあるため、円形脱毛症の治療をする際にはアトピーについても適切な治療を受けるということが大事です。
Q6 橋本病と診断されたが、血液検査データは問題ないと言われました。脱毛症と関係あるのでしょうか。亜鉛の検査もした方がよいでしょうか?
A 円形脱毛症患者さんでは橋本病などの甲状腺疾患を有意に合併しやすいことが知られています。血液検査値に異常なく定期的にフォローアップされているのであれば問題ないと思います。亜鉛については極端な低値の方で脱毛症を呈することがありますが、健康な方では稀です。
心配であれば、亜鉛の測定について先生に相談されるとよいと思います。
Q7 新薬の治験を聞くのですが、保険適用されるのはいつぐらいになるでしょうか?
A 円形脱毛症については新薬の治験がいくつか行われており、数年以内に保険適用となることが期待されていますが、安全性、有効性の検証など保険適用となるまでにはまだいくつかの段階が必要であり、それらの薬がいつ保険適用になるかは未定です。受診時に先生に聞いたり、製薬会社の患者さん用のホームページを確認して情報を定期的にアップデートされるとよいと思います。
始めての企画でしたが、皆様のご協力で無事終了いたしました。厚くお礼申し上げます。事務局